デザインという手垢言葉だけど
最近、デザインというものが数年ぶりに気になっている。
デザイナーになりたいと思ったことは一度もないし、美術の成績も
ひどいもんだったから、美術的なものには負い目がありまくる。
クリエイティブという言葉は、これも手垢言葉だけど、
デザイン雑誌に関わっていたものだから、そりゃ好きだった。
クリエイティブディレクターって響きかっこいいなあとかその程度。
なまじ、デザイン誌とか、クリエイティブという言葉を
主題に据える環境にいたからこそ、見えなかったものがあったのかもしれない。
なんだか、魔法のようなものという気は今でもぬぐえないが、
一方で、誰もが創造性とか、デザイン的な感性はあるようにも
思えるようにはなった。
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流行りを超えて、必要なのはこれなんだろうね、というので
経営の分野でもデザイン思考という言葉がちょっと前から台頭した。
わかったようでわからないので、いろいろと本を読んでみた。
まだあまりわかってはいないが、心構えとしては、ポジティブに、
アイデアを尊重しよう、というものが大筋でありそうだ。
改善よりも、飛躍的でもイメージの跳躍を試みる、というかね。
もちろん現実性が求められるシーンでは定着をしていくんだろうけど、
デザイン思考においては思い切り拡散しよう、ということなんだろうとは思う。
デザインなりデザイン思考については、今年ちょっと深堀りしようかという
テーマなので、長い目で考えていきたい。
いちおう、定義では、デザインとは、
「ある問題を解決するために思考・概念の組み立てを行い、
それを様々な媒体に応じて表現すること」らしい。
たんなる図案や意匠ではないというのは、今や
社会通念になっているようには思うけど、下手に使うとかっこワラな
響きを帯びるという気もしている。
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デザイン思考というのは、経営のためのイノベーションなどという次元のものではなく、
生き方の姿勢とか、これからの生活のための知恵というような捉え方で考えてみたいなと思った。
比喩的に言えば、ユーミンの歌う「めにうつる全てのものはメッセージ」
ということかもしれない。それは、ほとんどが人工的にデザインされたものであり、
人の意図がある。自然のデザイン、ということもあるかもしれないが、
人間の意思が身の回りのものには込められているんだなと思う。
なんというか、つくり、行動し、世界へと関わっていく作法として
デザインというものを手がかりに考えていきたいなとここ最近は
強く思うようになった。デザインって、今の自分の解釈では
行為であり行動なので、実践がともなわないと条件をみたさないな、と思っている。
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さて、デザイン、という連想から紹介していいのかわからないけど、
盟友(いまや)のいぬじんさんが、素晴らしいブログを書かれていて
触発された。
道なき道を行こう。 - 犬だって言いたいことがあるのだ。
一方で、僕らは新しいものを発見することもできる。
資本主義のやわらかな崩壊と、情報革命による平均化という地盤の上に生まれる
ちょっと違った価値観たちと、それらによって引き起こされる生き方の変化。そこにはまだ道しるべはないし、舗装された歩道なんてもちろんない。
でも、とてもありがたいことに、旅人を惑わすような余計な昔の道の残骸もないのだ。
だから、僕たちは心ゆくまで歩き続けることができる。
どこへ行くのも、どこで立ち止まるのも、そしてまた歩き始めるのも、すべてが自由だ。
正解なんて、どこにもないんだから。
ここで、これからのあゆみを考えていくための行動や知恵がデザインなのかも
しれないと思う。創造性をたのしく発揮して、悪意でなく希望を持って
よのなかに対すること。
なんだか、風潮としてこういったオプティミスティック
なものが大切にされてきていて、学問でもポジティブ心理学とかあるし、
梅田望夫が支持されたスタンスは、いわばこういったデザイン思考的なスタンスに
あったのかもしれないなーという気がしている。つうか、そうなると
≒シリコンバレー精神とかなって、スタンフォードとかもあるし、通ずるね。
創造性のある暮らしとかスタイルを言い換えてデザインって言っとけばいい気もしてきた。
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いろいろめんどうなこともあるし、
毎日がそんなふうに思って生活出来るわけではないけれど、
デザインフルなオシゴトが春から待っている。
これは、嬉しいことだし、まさにイノベーションという言葉が
自分にも降りかかって来そうだ。シリアスファンにいきたいものだ。

- 作者: 齋藤孝梅田望夫
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